医療従事者・学生のためのパソコンの選び方

医療従事者は、学生の頃はPCでレポートや実習のデイリーノート等を作成し、就職してからも論文検索や症例発表、マニュアル作成、会議の議事録作成等、比較的PCが身近な職業だと思います。しかし、PCを購入する際に何をポイントに選べば良いのか、どんなPCを購入すると損してしまうのかわからないというお声をよく耳にします。

そこで本記事ではプラベート用のPC選びのポイントを解説し、おすすめPCを紹介していきます。DX時代における生産性の要であるPC選びを失敗しないようにしましょう。

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この記事は以下のような方々におすすめです。

  • これから医療・介護・福祉領域の学校に入学する方・保護者の方
  • 医療・介護・福祉領域の学生
  • 現役の医療従事者
  • 医療・介護・福祉の経営者の方(社用PC選定のため)

本記事のPC選びの基準は多くのセラピストが行うと思われる下記の作業を想定しています。

医療従事者・学生の主な作業
  • インターネットでの情報収集
  • Wordでのレポート・資料作成
  • PowerPointでの症例発表・勉強会・学会発表スライド作成
  • Slackなどのチャットツールの使用
目次

PCを選ぶポイント

ノートPC or デスクトップPC問題

PCにはノートPCとデスクトップPCがあります。一般的に同じ性能(処理速度)のPCであれば、デスクトップPCの方が安いです。PCを持ち運ぶ必要が全くないという方でしたら、デスクトップPCの方が良いでしょう。またデスクトップPCのメリットはモニター・キーボードが別になっているため、PCが壊れた際にモニター・キーボードを買い替えなくて済みます。

一方で医療従事者の場合、持ち運ぶ必要が多いと言えるでしょう。学生時代の授業や実習で使用する場合にはノートPCが必須になります。また現役の医療従事者の場合、自宅で論文やリハオンデマンドなどの動画コンテンツを用いて勉強し、院内勉強会でスライド共有を行ったり、研修会や学会の発表では現地にPC持ち運ぶ必要があります。よって基本的に医療従事者はノートPCがおすすめです。

また最近は、外出先でノートPCを通常通り使用し、自宅では大きなモニターにつないで作業する「クラムシェル」という使い方も流行っています。

趣味でゲームや動画編集など、非常に負担の大きな作業を行わない限り、多くの人にノートPCがおすすめです。

Windows・Mac問題

では次によく聞かれる質問として、Windowsが良いのか、Macが良いのか、現在も両方使用している筆者が考察します。

以前はMacはパフォーマンスに対して割高であり、一部のクリエイター・デザイナー、Macのデザインを好むMacのファン以外にはおすすめできないと筆者は考えていました。

しかし、2020年11月11日に発表・発売されたAppleシリコンMシリーズの登場依頼、Macもコストパフォーマンスという点において、Windowsと大きく変わらなくなりました。

そのため、WindowsでもMacでも良いと考えます。個人的にはPCを扱う時間が長い方や、頻繁に講義・学会発表を行う方はMacがおすすめです。

Windowsがおすすめの方・特徴
Macがおすすめの方・特徴
  • 低価格を優先したい方
  • Officeを安く購入したい方
  • 特殊なソフトウェアを使用できる(研究で用いる施文的なソフトウェアに対応していることが多い)
  • PCのデザインを優先したい方
  • 機能性を優先したい方(慣れるとMacの方が操作が早い)
  • 耐用年数が長くなることが多い

余談ですが、筆者はAfter Effectsというソフトで非常に重たい動画編集を行うため、家では機能が拡張しやすいWindowsのデスクトップPCを使用し、外出先での比較的軽い仕事はMac Book Airを使用しています。

Office問題

医療従事者がWindowsとMacを選択する上で避けられない問題として、Office問題があります。OfficeについてはサブスクリプションのMicrosoft 365か買い切り型のOffice Home & Business 2021があります。それぞれの特徴は以下の通りで、一長一短ですので、好みの方で良いと思います。

Microsoft365
買い切り型
  • 14,900円/年(Personalプラン)
  • 最新のOfficeが使用できる
  • 1TBのクラウドストレージあり
  • Officeのデータを自動バックアップがあるため、PCが壊れてもデータは残る
  • WindowsはOffice Home & Business 2021(43,980円)
  • MacはOffice Home & Student 2021 for Mac(29,980円)
  • 追加料金がない

皆さん感じていると思いますが、価格が高いです(絶望)
そこで状況によって無料の別の選択肢もありますが、Office問題は複雑ですので、詳細は別記事で解説します。

必要なスペック

PT・OT・STが臨床現場で評価を行い、身長、体重、身体機能、認知機能、ADLなどの情報を元に、予後予測・目標設定・治療プログラムの立案を行うように、PCにも評価が必要です。

医療従事者にとって価格と機能のバランスが丁度よいスペックは下記の通りです。冒頭で挙げた作業を行うことを前提に提案しています。

  • CPU:Core i5 / Corei7(第11世代以降)または Ryzen5 / Ryzen7
  • ストレージ種類:SSD(HDDは×)
  • ストレージ容量:128GB以上であれば問題なし。基本的に256GBの製品が多い。それ以上ストレージが必要な場合は外付けSSDまたはクラウドストレージに保存することをおすすめします。
  • メモリ:16GB(8GBでも大きな問題はありませんが、長期で使うことを考えると16GBがおすすめ)
  • ディスプレイサイズ:13.3〜15.6インチ(携帯性を優先する場合は13.3インチ未満でもok)

上記のようなスペックであば2023年12月現在、10万円前後でノートPCを購入することができます

もっと安いPCもありますが、CPUがCeleronという処理速度が遅いPCであったり、ディスプレイが小さかったりと、満足な作業が行えない可能性が高く、安物買いの銭失いになってしまいます。

おすすめのPC3選 -Windows編-

WindowsPCは半導体不足が解消され、価格が下がっているため、今まさに買い時です。

【コストパフォーマンスNo.1】HP 15-fc【大画面かつスタイリッシュ】

66,800円(税込)と破格のPCです。15.6インチとディスプレイが広いため、PowerPointでスライドを作成する機会が多い方や、大画面で動画コンテンツを視聴したい方はこちらのPCがおすすめです。またHP特有のナチュラルシルバーも高級感があり、デザイン性も満足なPCです。筆者は周囲の近しい方複数名にこのPCをセットアップしました。ハンズオンでも触れて、機能性にも問題がないことを確認しました。

  • CPU:Ryzen™ 5 7530U (2.00 GHz 最大 4.50 GHz)
  • ストレージ種類:SSD
  • ストレージ容量:512 GB
  • メモリ:16GB
  • ディスプレイサイズ:15.6インチ
  • 重量:約1.59kg

【王道】Lenovo ThinkBook 14 Gen 6 (AMD)

料金は2023年12月現在において、なんと 66,880円(税込) です。半導体不足が解消し、業界全体として価格が下がっていますが、このPCの料金は破格です。セールなどで多少値動きはあると思いますが、このPCは多くの医療従事者にとって最適解となるPCだと思います。性能も申し分ありません。性能・価格・重さ・ディスプレイの広さのバランスが丁度良い、まさに王道のPCです。

  • CPU:Ryzen™ 5 7530U (2.00 GHz 最大 4.50 GHz)
  • ストレージ種類:SSD
  • ストレージ容量:512 GB
  • メモリ:16GB
  • ディスプレイサイズ:14インチ
  • 重量:約1.38kg

【軽さ重視】dynabook GZ/HW W6GZHW5CAL-K

重量が約875gと軽量なPCです。頻繁に持ち運びを行う方におすすめです。個人的に1kgを切ると軽いなと感じます。軽い分ディスプレイはやや小さく13.3インチですが、半日・1日中など長時間の作業をしないのであれば、十分なサイズです。長時間にわたって作業を行う方は14〜15インチが良いでしょう。13.3インチ未満では作業の効率が下がる印象があります。軽さを重視しているため117,480円(税込)と、上述のPCよりも若干高いですが、このスペックでは非常に安価となっています。

  • CPU:Core i5-1340P
  • ストレージ種類:SSD
  • ストレージ容量:512 GB
  • メモリ:16GB
  • ディスプレイサイズ:13.3インチ
  • 重量:約875g

おすすめのPC -Mac編-

MacにはMac Book AirMac Book Proがあります。Proはその名の通りクリエイター・デザイナーのプロが扱うようなスペックであり、動画編集や画像編集などの重たい作業を行わない場合はAirで十分です。とはいえAirでも簡単な動画編集は問題なく行うことができます。そこで、この記事ではMac Book Airに絞って説明します。

Mac Book Air 3つの比較

Mac Book Airは全部で3つのモデルが販売されています。

スクロールできます
13インチ
M1
13インチ
M2
15インチ
M2
CPUM1M2M2
ディスプレイ13インチ13インチ15インチ
重量1.29Kg1.23Kg1.51Kg
価格134,800円(税込)〜164,800円(税込)〜198,800円(税込)〜
Mac Book Airの比較

費用を重視の方は、13インチM1、
性能と軽さを重視するけど、ディスプレイの広さは重視しない方は、13インチM2、
性能もディスプレイも重視する方は15インチM2がおすすめです。

M1は機能的にどうなの?という点ですが、この記事の冒頭で挙げた作業が中心であれば全く問題ありません。ただ長く使う予定であればM2の方がおすすめです。

Mac Book Airの発売周期

「買いたい時が買い替え時」と良いますが、Appleの商品は注意が必要です。Mac Book Airはこれまで平均407日でモデルチェンジしており、これまでの周期から近い内に新しいモデルが発売される可能性があります。既存のM1・M2が安くなる可能性がありますので、注意が必要です。

周期の確認はAppleDaysさんがおすすめです。

まとめ

医療従事者や医療・介護・福祉分野の学生に向けたPC選びについて解説しました。医療従事者は、学生時代からレポート作成やインターネットでの情報収集などでPCを頻繁に使用し、就職後も論文検索や症例発表などでPCを利用するため、PC選びは重要です。

ノートPCとデスクトップPCの選択、WindowsとMacの比較、Officeの選択肢、必要なスペックについて解説しました。

WindowsとMacの選択に関しては、以前はMacが高価でしたが、AppleシリコンMシリーズの登場以降、コストパフォーマンスが改善されたため、どちらも良い選択肢となりました。また、Officeの選択に関しては、サブスクリプションのMicrosoft 365と買い切り型のOffice Home & Business 2021の違いを説明しました。

必要なスペックとして、CPU、ストレージの種類と容量、メモリ、ディスプレイサイズを挙げ、これに基づいたノートPCの推奨モデルを紹介しました。

みなさんがPC選びで失敗しないよう、本記事を参考にしていただけますと幸いです。

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